1999.08.24
ロドさん
「ブラン・ド・ミュゲ」荻窪
喜-3

山の手にありなあら下町的な風情と人情が味溢れ、かつての文豪たちがこよなく愛した荻窪の街に、小ぢんまりとしたフレンチレストラン「ブラン・ド・ミュゲ」がオープンしたのは98年の9月のこと。まもなく開業1周年を迎えるこの店も、地元の人々や近隣で働く女性たちでいつも賑わっている。

この店のある商店街には、地域に密着したショップが軒を連ねており、かわいらしいといえるほど小さな入口は、注意して歩いていないと見逃してしまうかもしれないので、トリコロールを頼りに探すとよいと思う。ちなみに隣りの店には星条旗がはためいているので、両方合わせるとかなり目立っている。入口の扉からは店の中の様子がさほどハッキリとは見えないので、喫茶店かなにかと勘違いするお客もいるような気がする。

ロッジ風の扉を開けると、ホールになっており、カウンターを含めても20席余とコンパクトだ。テーブルには真っ白いクロスが掛かり、清潔感が漂っている。サービスに当たるのは日本語が達者なフランス人のロドさんひとりだが、フレンドリーなおもてなしで心から楽しませてくれる。忙しくて手が回らなそうな場面が幾たびもあるのだが、そんな時でも気持ちよく待っていようという気分にさせてくれるサービスだ。

この日、予約なしでふらっと立ち寄ったのが、午後1時ごろだった。すでに他のテーブルでは食後のコーヒーを飲んでいる。ランチタイムには前菜・主菜・デザート・コーヒーで1,800円のコースと、前菜・魚・肉・デザート・コーヒーで2,800円のコースがある他、平日に限りおまかせオードブルか本日のスープ・主菜・コーヒーで1,200円というコースも用意されている。その日の献立は黒板にチョークで書かれており、ロドさんがテーブルに持ってきて説明をしてくれる。

各コースとも、料理を自由にチョイスできるのがうれしい。今回は1,800円のコースを注文し、前菜に季節野菜のサラダ、主菜に牛ヒレ肉のポワレ・フォアグラソース(+800円)、デザートにタルトタタン(+500円)をチョイスしてみた。価格からは想像もつかないほど丁寧に作られた料理が運ばれてきて、抜群のコストパフォーマンスを感じた。グラスワインは550円。

Y.K.