1999.06.26
深夜でも元気
コーヒーハウス「オーツーフォー」銀座東急ホテル
喜-2

「シャトーアムール」でゴージャスなシェフズスペシャリテを楽しんだ直後だったのでぼくは満腹だったが、おなかが空いたという連れの食事に付き合って銀座東急ホテルのコーヒーハウスに入った。この店に入る前に銀座第一ホテル、銀座東武ホテルの店をのぞいて様子をうかがったのだが、どちらも閑散としており閉店前の雰囲気だったので通過して東急ホテルにやってきた。

さて駐車場に車を停めようかと思うと、駐車場の営業時間は終了しており入口が閉鎖されている。車で宿泊している人は困らないのかな?と余計な心配をしながら結局路上駐車。館内に入ると、ロビーこそひっそりとしているものの、24時間営業のコーヒーハウス「オーツーフォー」は活気に満ちていた。

十分な数の従業員が、キビキビとサービスしており、深夜であることを忘れさせてくれる。メニューも豊富で、その上リーズナブルだから、この界隈ではありがたい存在なのかもしれない。たまたまかもしれないが、4種用意された定食が人気らしく、回りの席の人たちは、みんな四角いお盆に乗った個性的な料理を食べていた。

連れが注文したコムタンセットは肉のたっぷり入ったコムタンとゴハン、そしてキムチの定食で2,000円。ぼくはコーヒーだけ。正直あまり美味しいコーヒーではなかったが、積極的におかわりを薦めてくれ、ついつい2杯も飲んでしまった。

1999.08.05
パジャマホテル
赤坂東急ホテル Superior Twin
楽-2

入口から窓方向

JTBの夏休み超特価ホテルプランを利用して、2名1室朝食付きで1名8,900円という手頃な料金で宿泊した。外観がピンクと白の縞模様であることから「パジャマホテル」の愛称を持つこのホテル自体、いままであまり縁がなかったが、予想よりもはるかに快適でいい印象を受けた。

メインエントランスは1階にあって数名のベルマンが待機しており、到着するとにこやかに荷物を持ち3階にあるフロントまで案内してくれた。フロントの対応はなれた感じで手際よく、適度に笑顔もあり好感が持てた。この日は団体客の宿泊が多い様子で、フロント前はごった返していた。その他の客もほとんどがスーツ姿で、ホテル慣れしたビジネスマンが多いようだ。

1階から案内してくれたベルマンが引き続き客室まで同行してくれたが、非常にホテルマンらしい気持ちのいい人だった。もうそれだけでこのホテルに来た価値があるように感じられる。案内された客室はコーナーから2番目で、窓際がカーブを描いている分広くなっている。格安プランだから一番狭いタイプかと想像していたので、ちょっと得した気分。非常口案内で客室の配置を見ると、広い部屋は各階に2室しかないようだ。ちょうど清掃中の客室があったので、狭い部屋をのぞいてみたが、見た感じでは5平米以上違うようだ。また、寝具に羽毛布団を用いているのも、スーペリアタイプのみのように見受けられる。

今回利用した客室のベッドは120センチ幅だが、ベッドスプレッドは115センチの幅しかないのでアンバランスだ。天井は2メートル30センチに満たないので圧迫感がある。窓は一部開閉ができるのはいいのだが、昔ながらのサッシ窓であるため、すぐ下を走る外堀通りの騒音が気になる。カーテンはなく、キャピトル東急同様、障子と襖を採用しているが、その他の部分に「和」を感じさせるテイストは見当たらない。

冷蔵庫は無音型でないので時折作動音を立てるし、電話機はナイトテーブル上にしかないばかりかライティングデスク付近にモジュラージャックすらなく、バスルーム内の受話器は受信専用と旧式の設備。ドアはカードキー式に改装されている。

バスルームは非常に狭いユニットバスで、アメニティは東急ホテルズ共通の仕様。シャンプー・リンスは資生堂スーパーマイルドの12ミリリットル入りポーションで、石鹸は資生堂サボンドール25グラムだ。ドライヤーは壁掛け式で800ワット、トイレはウォシュレットを備えている。タオルは比較的薄い生地だが、一応刺繍が施されている。清掃はまあまあ行き届いている方だ。

全体的にくたびれ気味ではあるが、設備は大切に使われているようで、特に水周りには水垢の付着も見られず清潔感がある。ルームサービスは7時から24時まで、レストランと同一の価格で提供しており、冷やし中華1,800円や赤坂御膳2,600円など、気軽に頼めるメニューが豊富だ。7月31日から、14階の全面改装に着手したため、メインダイニング&バー「ゴンドラ」、鉄板焼「千代田」、バー「マルコポーロ」は閉店した。改装後の施設についてはまだ未定の部分があるそうだが、今のところ「なだ万」の新業態が入居する予定らしい。

14階が閉鎖中のため、「コーヒーハウス見附」、「ティーラウンジ」では営業時間を延長したり、メニューに幅を持たせるなどの工夫をして対応している。また、2階のプラザ内には終夜営業の「ロイヤルホスト」が入居しているので、そちらを利用することもできる。エレベータも順次改装工事中で、500室以上の規模に対して4基しかないエレベータが現在は3基しか動いていないため、なかなか来ないだけでなくラッシュアワーのような混雑だ。

ロケーションとしては赤坂見附駅前に位置し、銀座、渋谷、新宿など主要なポイントに10分以内にアクセスできるので、ビジネスや観光などでアクティブに行動する人にはもってこいのホテルだといえる。特にビジネスマンが少なくなるこの時期には格安のプランが用意されるのでオトクだ。

ライティングデスク方向 シンプルなユニットバス

コーヒーハウス「見附」

午前6時30分から朝食をサービスしており、和洋ブッフェ2,500円と洋食のセット2,200円のほか、アラカルトを用意している。和朝食セットは隣りの「ティーラウンジ」で提供している。午前7時過ぎに出掛けたが、すでに満席に近い混雑ぶりで、入口でしばらく待つ必要があった。順番が来て案内をしてくれる際も、従業員は言葉少なく暗い表情で「おあと何名様ですか?」と、席についた際の「こちらです、バイキングですのでどうぞ」としか言わなかった。

朝から多くの客をさばくのに疲れてしまう気持ちも理解できないではないが、「いらっしゃいませ」とか「お待たせいたしました」などといい添えてくれるだけで、ずいぶんと印象が違ってくると思う。食事中にもたくさんの従業員が通りかかるが、コックコートを着ている人や、キャプテンクラスの人たちは、口を一文字にして、客を見下すような視線で客席を監督しているかのようだった。

彼らに自分がどんな顔をしているのかを知らせるために、周囲を鏡張りに改装したらどうだろう。ついでに見下す視線にならないように、彼らの動線を客席より50センチくらい低く設計してやりたい気分だった。客層は年齢層が高く、くだけすぎた服装の客はまったくいなかった。

混み合っていても、ブッフェカウンターにごった返すようなこともなく、騒々しいこともなく、ホテルの朝食時間らしい雰囲気が保たれていた。ブッフェの品揃えはまあまあで、例えばヒルトンの「マーブルラウンジ」などには遠く及ばないながらも、一通りのバラエティは揃っている。補充も頻繁で、ブッフェ台は常に清潔に保つよう、注意が払われている。午前8時ころには混雑がおさまり、空席が目立つようになっていた。

1999.12.10
老舗
銀座東急ホテル Standard Room
楽-2

地下鉄東銀座駅から程近い銀座東急ホテルは、2000年には開業40周年を迎え、数ある東京のホテルでも老舗に数えられる。その歴史の中で培ってきた信頼をベースに高度なホスピタリティを提供するやすらぎのホテルだ。さすがに建物は老朽化が進み、シャレになっていない部分もあるのだが、ロビー周辺のパブリックスペースやレストランは数年前に大きく手を加えた結果、ヨーロピアンスタイルのインテリアに改まり、数年を経てこの銀座により馴染んだ落ち着きを醸し出すようになった。

客室もそれなりに改装を進めてきたようだが、パブリックスペースほどには力がこもっていないような印象だ。40年前のスタンダードには適っていたのだろうが、40平米が当たり前のご時勢では、あまりの狭さに窒息しそうになるかもしれない。今回利用したスタンダードルームは20平米強のスペースで、天井が2メートル45センチと低いため、雰囲気的には船室のような感じ。

ところが、障子と襖を採用した窓を開けると、海原とはいかず細い路地を挟んだ隣りのビルでデスクに向かうおじさんたちの姿が眺められるだけだ。バスルームもおもしろいデザインだった。長さが110センチと膝を抱えるしかないような、喜怒哀楽史上もっとも小さいバスタブが三方を壁に囲まれて配置されており、古々しい便器やベイシンが歴史を感じさせる。

こうした建物的なマイナスポイントを補っているのは、24時間ルームサービス、ふかふかで心地よい羽毛布団、上質で大型のタオルのほか、若い従業員たちの溌剌としたサービスだった。逆に言えば、心に通じるサービスがなければ立つ瀬のないホテルだといえる。現在の顧客は年齢層が高いと思われるが、そうした人たちは次々と墓に入ってしまうので、そろそろ若い世代にもアピールしていかないと、今の顧客と一緒に墓に入ることになりかねない。

1999.12.14
プラットホーム
横浜東急ホテル Standard Twin
楽-2

横浜東急ホテルは、横浜駅西口に隣接しているという好立地に恵まれながらも、新しいホテルに話題を奪われ、うわさを聞くことも少ない。建物が古い上に眺望にも大きな魅力がないため、週末のレジャー客にはウケが悪いようだ。

しかし、実際に利用してみると、見かけからでは決して判らなかった良さがあり、思いのほか快適な滞在ができた。小ぢんまりとしたロビーは、多くのビジネスマンや比較的年齢層の高い客層で賑わい、ロビーラウンジは満席であるほどに活気があった。チェックイン時に感心したことは、若い女性スタッフにまざって、マネージャーがカウンターに立ち、チェックインの手続きを行っていたことだ。

しかも、チェックインタイムよりも早い到着をした数組のゲストに対し、待たせることなくスムースな対応をしている。特別な光景ではないかもしれないが、そこには訪れた人に快適な滞在をしてもらいたいという気持ちが感じられた。若いベルマンたちも、キリッとした立ち姿が印象的で、好感が持てた。サービスに関してはとても人間的で、しかもホテルらしさが感じられるものだった。

客室階へ行くエレベータは、宴会場やレストランフロアに向かう客と共用で2基のみだが、あまり待たされることはなかった。このホテルは、もともとあった本館に新館を建て増ししているが、各階でつながっているので、館内にいると区別がつきにくい。今回利用した客室は本館、横浜駅側のスタンダードツイン。ツインといっても20平米程度のコンパクトな客室だ。狭いながら、必要なものはきちんと備わり、改装されているので古びた感じもしない。

広い客室の場合、なんでこんな所にこんなモノが・・・と思うような無駄な設備があったりすることもしばしばだが、さすがにここではそんな余分なものを配置する余裕はなく、それがかえって機能的で無駄のない配置につながっているようだ。まるで客船の一室にいるような気分。天井高は2メートル45センチとさすがに低めだし、ベッド幅も105センチと小ぶりだ。

窓は二重になっており、わずかだが開閉ができるようになっているので外気を取り入れられる。ちょうど眼下に横浜駅のプラットホームが見え、ひっきりなしに往来する電車の音と駅のアナウンスや発車ベルがわずかに聞こえてくる。最近はやりの下品で低レベルな発車音楽とは違い、一昔前のシンプルなブザー音なので、神経を逆なでされることはなかった。

また、今では少なくなったものの、長距離の列車も発着するので、時刻表でもあれば照らし合わせてみるのもおもしろいかなと思いながら、しばらく外からの音に耳を傾けていた。遠くにはベイブリッジの一部がかろうじて見え、水面もわずかながら望むことができるので、横浜の雰囲気はここでも味わうことができる。

超高層から見下ろすヨコハマの街並みや、港を一望するロケーションとは一味違った、屋根裏的なノスタルジーが漂うホテルだった。日常にちょっと疲れて、ひとりで一息つくには悪くないかもしれない。

Y.K.