1999.01.23
旅館みたいなホテル
高輪プリンスホテルさくらタワー Deluxe Corner Room
喜-3東京にまた一つ魅力的なホテルがオープンした。外資系の本格的な参入以来、画一的でつまらなかった日本のホテルにも、個性があっておもしろいホテルが次々に出来て、目的や気分でニーズに合った宿選びが可能になった。ここさくらタワーも実に個性的でおもしろいホテルだ。
プリンスといえば、サービスなしの安手なつくりと相場が決まっていて、心を潤してくれるホテルといった印象はまったく無かった。そのくせ高いというイメージでどうも好きになれなかったので、滅多なことでもないと利用しなかった。しかし、今度のプリンスはどうも様子が違いそうで、気になっていた。
東京一の客室数を抱える品川地区だが、プリンスホテルだけでも品川と高輪、新高輪があり、敷地はものすごく広い。高輪と新高輪は同じ敷地内にあって、散策路で結ばれている。庭園は手入れが行き届いており、都心とは思えない静けさがある。交通の便もいい。
さくらタワーはその庭園を望む、その名の通りさくらのシーズンには絶好のお花見ポイントに建っている。フロント周りは見るからにプリンスホテルのつくりだが、チェックインはラウンジでウェルカムドリンクでひといきつきながらソファでする。窓の外にはせせらぎがあり、気持ちを和ませてくれる。
客室は広く、46u以上。全室にブロアバスとシャワーブースがあり、バスローブも用意されている。窓は大きく取られていて、ダイナミックな景観を楽しめるし、ベッドのサイズも大き目だ。トイレは浴室とは別にしてある。FAXも全室にあるが、送信料金は高い。プリンスホテルとしては厚手のカーペットを使っているし、タオル生地は厚くて立派、浴室に大理石やタイルを使用するという気の入れよう。ミニバーはプリンスらしく空っぽかと思いきや、各種ドリンクが用意されていた。もちろん有料だが。
今回はコーナーのツインに宿泊した。普通のツインに比べひとまわり広いはずだが、独特の配置のためか、かえって狭く感じる。横浜ロイヤルパークホテルのデラックスルームも似たような感覚があった。このコーナーツインは窓が半円状に大きく取られているのが特徴で、ちょうど庭園を間近に眺められる位置にある。高層階よりも低層階のほうが、かえって木立の中に入るので、まるで森に囲まれたような雰囲気が味わえていいかもしれない。
バスルームはとても広く、バスタブは円形の大型ブロアバス、床暖房付きでダブルベイシン。クロゼットはウォークイン。ターンダウンサービスもある。よく考えられた客室で、快適に過ごすことが出来る。
レストランは館内には和食の店とワインラウンジしかないが、隣接の高輪、新高輪のすべてのレストランを部屋付けで利用できるので、バラエティには事欠かない。でも、隣までいくもの結構面倒だが。和食の七軒茶屋では、ハッピを着た従業員が出迎えてくれ、おでんや串揚げなど、いろいろなカウンターと小上がりの席からなり、気軽に楽しめるような品揃えと雰囲気だ。ただ、個人的には蛍光燈の明かりが強い店は好きでないのであまり居心地がよくなかった。
ワインラウンジはフロントロビーからエレベータホールへと向かう通路に面しており、昼間ロビーラウンジとして機能させることを狙ったのか、通路の延長上のようなつくりで、床も石張りのため、ワインをゆっくりと味わえるような雰囲気ではないように感じた。実際、ほとんどの客は喫茶で利用しているようだった。
ぼくらが店に入った時は、ちょうど披露宴の二次会帰りの人たちが通路で大声を出して盛り上がっており、とてもくつろいだ雰囲気にはならなかった。せめて床を絨毯にしたらもう少しマシだったかもしれない。せっかくセラに自由に入ってワインを選べるようになっているし、サービスもよく、気合が感じられるのに残念。
ワインラウンジの向かい側には、ブティックとプリンスおなじみのコンビニがある。コンビニにはスリッパ姿のおじさんが大勢いた。地下には手品を見せてくれるバーと、ジム、ジャクージ&サウナの浴室がある。この辺も旅館っぽさが感じられる。都会に本当にリゾートホテルを建ててしまったという感じでおもしろいホテルだ。
Y.K.