1998.07.10
愛しのラーメンアイス
湯沢グランドホテル(秋田) Standard Room
楽-1

コンサートのために、楽器とともに東京から秋田まで車での旅をした。早朝に出発したものの、都内の渋滞を抜けるだけで3時間を要し、先行きが不安に思えたが、東北道に入ってからは快適なドライブが終始続いた。都内の渋滞で疲れたので、早速最初のサービスエリアで朝食をとることになった。

実を言えば、都内があれほど混んでいなければ、途中フォーシーズンズホテルに寄って朝食をとるつもりだった。フォーシーズンズと高速のサービスエリアではどう考えても差があり過ぎる。が、価格の差は、品質の差を考えれば無いに等しい。朝食セットは注文する気になれず、それぞれビビンバセットだとか、カツカレーだとか、フォーシーズンズではお目にかかれないようなものを敢えて注文した。

食券を買って席につくと、あっという間に料理が運ばれてくる。異常に早い。周囲では、組の皆様方がお葬式か何かで大移動の途中休憩を取っており、なんとなく物々しい雰囲気。そうでなくても皆無口な客ばかりで、悪いことをして刑務所に入れられてしまったような気分を味わった。

福島を過ぎると気持ちのよい夏空が広がり、こんな空を泳いで見たいなぁなんて思ってうとうとするうちに仙台を過ぎ、休憩に寄ったサービスエリアで変わったアイスクリームを発見した。興味をそそられたものの、自分で食べてみる勇気が無く、同行のスタッフに食べてもらった。その名も「味噌ラーメンアイス」と「フカヒレラーメンアイス」。他にもいろいろとあったが、この2種が特に刺激的なネーミングだった。

ぼくは「ずんだ愛す」という枝豆の味のするアイスを食べた。これは結構いける味。でもラーメン味2種にはびっくりした。カップヌードルの残り汁に乾麺を砕いたものを入れ、クリームを加えて冷やし固めたといった感じ。トッピングのナルトとメンマも忘れてはいない。だがアイデアはともかく、また食べようとは思わなかった。

口直しに購入した「ゴマすり団子」は冷凍した状態で販売され、自然解凍し、頃合いを見計らって冷たいままいただく一口サイズの団子。もちっとした皮の中から液状の黒ゴマソースがジュワッっと出てきて、なかなかおいしかった。最後の一つを頬張る頃には、無事目的地に到着した。

到着早々セッティングとリハーサルがあり、いつものことながら到着から出発まで、ホテルの外に一歩も出ることはなく、食事もごく簡単にサンドイッチをつまむ程度だ。この町にはグランドホテルとロイヤルホテルの2軒のホテルしかなく、コース料理を食べられるのはこの2軒だけだと地元の方は言っていた。

夕食をご馳走になったホテル内ダイニングの名は「トレンディー」。なかなか奇抜なアイデアの料理がいろいろと振る舞われた。食後のコーヒーといい、リハーサルの合間に一息いれる際のコーヒーといい、薫り高く、気を休めてくれるものだったらと願ったが、結局期待には添わなかった。

出発日に招待された、漬物を中心とした懐石を出してくれる店は、印象に深く残った。この地方では漬物のことを「ガッコ」と呼ぶそうだ。幾種ものガッコがテーブルにならび、それぞれが実に風味豊かで、歯ごたえもよく美味だった。また最後に出された御飯のおいしいこと。さすが米どころ秋田。漬物と米さえあれば、即ご馳走だ。

Y.K.