1998.05.26
品格
「アピシウス」有楽町
喜-4

東京サミットの晩餐会に於ける料理をも手がけるシェフの店が有楽町のオフィスビルの地下にある。6人もの従業員に出迎えられ店内に入ると更に7人の従業員がいた。昼時とあって、エグゼクティブ同士の会食と女性同士のグループに大別される客層だった。この店に来るとどうしても昼定食ではなく一品料理に目がいってしまう。

結局ここのスペシャリテを中心にアラカルトでオーダーした。雲丹とキャビアをカリフラワーのムースで包み、周りをコンソメのジュレで囲んだオードブルは濃密で手抜きのないコンソメのこくとカリフラワーの初夏らしい爽やかさが絶妙のコンビネーション。鳩は火の通りもよく、控えめな蜂蜜の甘さがだし汁の風味の中に程よく感じられた。デザートのココナッツのスープは甘く濃厚で、食事の締めくくりに相応しかった。エスプレッソも香り高い。

グラスシャンパンはブーヴクリコの1990年ヴィンテージ。その後に楽しんだシャトーラトゥール1981年はラトゥールにしてはやや軽やかな感じだったが、さすがグランヴァン、香りは素晴らしい。チーズと一緒にドライのいちじくが出され、これがワインとよく合う。イラン産だそうだが、入手困難とのこと。名画に囲まれ、気分は喜。サービスにより品格が感じられればLevel5だったんだけど…

Y.K.