1998.04.12
危うく食いっぱぐれ
「バッカナール」赤坂アークヒルズ
楽-2

赤坂で仕事があり、合間に少し遅めの昼食を取ることになった。音楽家をしていると規則正しい時間に食事をするのはまず不可能だ。基本的に世の中の皆さんがヒマな時に一番働いている。好きなときに休めていいわね〜なんてよく言われるが、そうでもない。いつでも年中無休で頑張っているのだ。毎日が休日という言い方もあるけど…

というわけで、この日もお昼時にしてはちょっと出遅れのオヤツ時。いやな顔をされるかもしれないけれど、お昼のラストオーダーには間に合うだろうと思い、全日空ホテルに入った。とりあえずフレンチレストランへ。レストランウエディングで貸し切り。じゃあイタリアンレストランだ。え?ここも同じくレストランウエディングでクローズ。一度に2店舗はないんじゃないの?

日本料理とか中国料理という気分じゃないし、いいやコーヒーショップで。ま、マジ?改装中で6月までクローズだって。というわけで、ここでは洋食は食べられないということらしい。

コーヒーショップを改装するのは大いに結構なことだが、それならばコーヒーショップの機能をどこかで代替しないといけない。イタリアンレストランでその期間だけ、よりカジュアルなものを提供するとか、普段はビバレッジオンリーのバーで軽食を出すとか、やってできないことはない。できることをしないのだから、つまりやる気がないのだ。それどころか、飲食施設を披露宴会場に貸し切ってしまっている。基本的に結婚披露宴は宴会場でやってもらいたいものだ。

仕方がないから、お隣のビルへ向かうことにした。そこにはかつておいしいフランス料理店があったが、不況で撤退してしまった。その後にできたのが、原宿にもある人気のブラッセリーだ。目の前がサントリーホールで、この日も夕方から「ナブッコ」の公演があるとかで、開場を待つ客で大賑わいだ。

店内はカフェ、バーカウンター、クロスを掛けたテーブル席の3つのコーナーに分かれている。あまり時間もなかったので、カフェの席に座って、オニオングラタンスープ、シーザーサラダ、フォアグラのテリーヌ、エシレバター、それにワインを注文。これでもう5,000円。

おいしいのだけれど、雰囲気とサービスを考えると余りお値打ちという感じはしない。この店にはフランス人のギャルソンが数名いるので、日本人の無理な発音の「しるぶーぷれ」でなく、気持ちのよいフランス語が飛び交っているのを聞いているだけでもパリの気分。

ついでながら、その隣にはパンパシフィックホテル横浜でも話題になっているという、フランス料理店のオーナーが出店した中国料理店ができた。西洋風のインテリアの中に東洋的なスパイスを効かせた店構えで、鱶鰭の姿煮や北京ダックなどの代表的な料理がコースに盛り込まれ、7,500円、12,000円の2種。

この時間帯は休憩中にもかかわらず、エントランスの電球がひとつ切れているのに気付かず交換していないのは、この店のサービスレベルを暗に示している。

Y.K.