1997.02.08
親しみと贔屓目
欧風台所「ラ・パレット」中央林間
楽-2

あまりに親しみを持ち過ぎているためか、本来そこに備わっている美点に気付けなくなることがある。毎日見ている女房の顔と同じで、人に話すときもついつい辛口の表現で伝えてしまうことになる。この日初めてこの店にお連れしたニューヨーカーの友人は、まるでヨーロッパに来たような気分だとまで誉めそやしながら、ゆっくりと食事の時間を楽しんでくれた。

常連と一見。この店にはこのどちらかの客しか存在しない。はじめて訪れる客は、常連が幅を利かせ過ぎる店に違和感を感じるだろう。店にとっても確実に新しい出会いを増やし、新鮮な空気を取り入れながらも、得意客に対する充実を深めてゆくべきだ。この店にははじめて訪れた客をあっといわせるだけものがある。あとは飽き始めてしまった客に再びときめいてもらえる工夫が必要だ。

Y.K.