1995.02.28
アフターナイン
「ラ・フェット」表参道
楽-1青山劇場でのイベントがはねて、食事をすることになったが、すでに9時を回っていたので、選択肢が限られていた。気分的には、ゴージャスな店で年代もののワインでも楽しみたいというくらい、みんな盛り上がっていたが、グランメゾンで食事をするにはいささか遅すぎた。表参道付近で遅くまでやっている店といえば「FLO」を思い出すが、そんないいかげんなものを食べるくらいなら、空腹のまま帰った方がマシだった。
そこで、思いついたのが「ラ・フェット」だった。以前は六本木の星条旗通り沿いで小ぢんまりとしたレストランとして営業していたが、表参道に移ってからは、表にオープンエアのカフェをしつらえ、その奥にダイニングルームとして「ラ・フェット」があるという造りになった。この店は日本を代表するフレンチレストランとして名高い「ひらまつ」の経営だが、「ひらまつ」グループはいつも大胆でセンセーショナルな店の展開を見せてくれ、とても痛快だ。
この「ラ・フェット」も遅い時間の入店にも十分に対応しており、きちんとした内容の料理を提供してくれる。賑わいの絶えない好立地であることや、「ひらまつ」ゆずりの確かな料理がリーズナブルに楽しめることがあいまって、いつも繁盛している。料理はどちらかというと、田舎風だったり家庭風だったりと、ビストロのような雰囲気が出ているが、サービスはにこやかで親切ながらも、多少気取ったところがあり、場合によっては嫌みに感じることもある。
それぞれ好きなものをアラカルトで注文し、最後には大テーブルにところ狭しと置かれているデザートからたくさん取り分けてもらって楽しんだ。ワインについての知識とアドバイスは的確だったが、扱いはやや粗雑であるように感じた。また、店の各所に汚れが目立つことと、何といっても化粧室が著しく不衛生であったことは、残念に思った。
Y.K.