1994.03.16
光る料理
「レ・クリスタリーヌ」南青山
楽-2

今ではファッショナブルなブティックなどが軒を連ねるようになった青山の骨董通りから、細い路地を一本入ったところにある白いビルの1階に、手頃な価格でなかなかの料理を楽しませてくれるフレンチレストランがある。テラスにもテーブルが置かれ、初夏の昼時にでも利用してみたいと思わせる、都心では貴重な空間を併せ持っているレストランだが、店内も清潔で落ち着いた、快適な雰囲気で食事を楽しめる。

夜のコースでは、自家製のパスタ料理が盛り込まれており、これがとても美味しかった。また、他で類を見ない仕掛として、オードブルとデザートはガラスの皿に盛られて提供され、それらがテーブルに置かれる時は、丁度テーブル下から照明が当たるようになっており、まるで料理が光っているような演出で楽しませてくれる。野菜やフルーツを透過してくる光は、なんともいえないみずみずしさがあり、食欲と美意識両方に訴えかける。

その他の料理も好調で、スパイスやハーブを巧みに使い、しっかりした味わいなのに、重たくないソースが素材をうまく引き立てている。一方サービスについては残念ながら感心しなかった。大きな不足があるわけではないが、やや曇り気味といえる覇気のない表情でサービスされては、少なくともそれによって食欲が増したり、財布のひもが緩んだりということはまずない。せっかくのアコモデーションと料理なのに、サービスがそれに追随していないから、バランス悪く感じる。

ワインの品揃えは、比較的リーズナブルなもの中心で、ハウスワインは破格ともいえる手頃な価格だった。トイレは清潔で、店内同様、清掃が行き届いており気持ちがいい。

Y.K.