1994.03.02
前後泊には高価格
第一ホテル東京シーフォート Standard Room
喜-1

東京ではウォーターフロント開発が盛んだが、このシーフォートスクエアのある天王洲は、数多い開発地域の中でも先駆けて整備された街だ。景観を考え抜いて建てられたビル群は、高さや配置が整っており、スマートなイメージがある。

その一角にあるビルの上層部に位置する第一ホテル東京シーフォートは、総客室数を123室に抑え、小規模な施設ので高品質なサービスを目指したホテルだ。標準的なツインタイプの客室で30平米と小ぶりのサイズながらも、35,000円という強気のラックレート設定でふんばっているのだから、相当高いレベルのサービスを提供してもらわないと、割が合わないと思われても仕方ないだろう。

車でメインエントランスに到着しても、だれひとり出迎えてはくれない。ロビーは2階にあるが、1階の車寄せには従業員の姿がなく、仕方なく車を降りてエントランスを入り、エスカレータを上がって従業員を探しにいった。ベルマンはフロント付近に2名いたので、そのうちのひとりに車までご足労願って、荷物を運んでもらった。駐車場スペースはビル全体と共同になっているので、十分なスペースが確保されているが、場合によっては満車になることもあるという。

チェックインカウンターはなだらかな曲線を描いており、海をイメージしているそうだ。このほかにも、館内にはいたるところに海をモチーフにした意匠が採用されており、結構楽しめる。この日はホテル全体がひっそりとしていたせいか、非常に落ち着いた雰囲気で過ごせたが、日によっては多くの人でごった返すことだろう。ホテルには多くの人がいて活気がある方が似合うホテルと、静まり返っているほうが似合うホテルがあるが、どちらかというと、このホテルは静かな方が気持ちいい。

客室は思いのほか落ち着ける造りで快適だ。バスルームは広くないが、シックな色調で男性的なイメージがある。客室自体がやや男性的な感じだが、そこにドレッサーやリングホルダーなど女性的なものが置かれ、バランスを保っている。シャワーヘッドは、固定式のものと、ハンディタイプのもの2種が設置されている。バスローブも全室に備わっている。

モノレールの天王洲駅前という立地からも、羽田空港の前後泊に便利だと思うが、この料金では前後泊利用はもったいない。せいぜいひとり1万円以内のプランでもない限り、あまり需要はないだろう。でも、なぜかこのホテルは、サービスが良いわけでも、特別変わった客室でもないのに、気持ちが安らぎ、不思議と快適だ。

Y.K.