1994.02.11
世界一の朝食?
ホテル阪急インターナショナル Standard Room
喜-4阪急グループが手がけた梅田の再開発地区「ちゃやまちアプローズ」の中核をなす、すべてに贅を極めたラグジュアリーホテルがホテル阪急インターナショナルだ。リチャード・メイヒュー氏による邸宅風のインテリアは、たいへん豪奢で、落ち着きとともに心地よい緊張感をも感じさせる。
最近のスモールラグジュアリーホテルでは珍しく、チェックインカウンターで立ったまま手続きをする、荷物はベルマンが同行して運んでくれる。ロビー脇にはライブラリーがあり、ポプリのスパイシーな香りが漂う静かで落ち着ける空間だが、肝心な蔵書には興味をひく書物がなかった。
今回利用した客室はもっとも標準的なタイプの客室で、42平米の広さがあり、インターナショナルサイズでゆったりとしている。ロビーに比べるとすっきりとモダンな印象で、色使いがとても巧みだ。窓は三角形に張り出していて、眼下には高層階ならではのパノラミックな眺望が広がっている。ユニークなのは、隣室との間の外壁に非常用設備があることだ。ビルの外観を損なうことなく安全対策を講じている点は評価できる。
室内には座り心地抜群のソファ2台と、ライティングデスクの他、アーモア内にはビデオデッキとオーディオ設備を備えている。ミニバーのソフトドリンクは無料になっている。クローゼットは広く、引出しも多数用意されているので便利だ。
バスルームはフレンチドアで仕切られており、白の大理石張りのゴージャスな空間。用意されているタオルの数は他に類を見ないほどに豊富だ。もちろんバスローブも備えられている。アメニティは男女別にパッケージに詰められており、使うのがもったいなくおみやげにしたいほどだ。ただ、品質は国産の一般的なものなので目新しさはない。スタンダードな客室としては非常に充実しており、居住性に優れた空間だ。
ホテル内にあるフィットネスクラブを利用してみた。ほとんどお客さんがいないので貸し切り状態に近かった。設備は申し分なくととのっており、特にサウナ・バスは広々していて、抑えられた照明がリラックス気分を高めてくれる。3種類のサウナがあるのもありがたい。
「マルメゾン」
夕食と朝食で二度利用した。夕食時は満席の賑わいで、ホールではなく開放した個室部分に案内されたので、少々閉鎖的な空間での食事となった。雰囲気も立派ならば、お値段も立派。もっとも高いコースを注文したところ、料理はなかなかの出来映えで不足を感じるほどではないにしても、価格相応の満足感は得られなかった。特にデザートはガッカリしたといっても過言ではない。
サービスは混み合っていたせいだと信じたいが、せわしなく、また注意散漫で、こちらまで落ち着かない雰囲気での食事となってしまった。ただ、ソムリエはとても優秀で、信頼を置くことができる。翌朝の朝食も夕食と同じ席になってしまったので、結局ホールの雰囲気は満喫できず終い。入退店時に見た感じでは、高い天井とベネチアングラスのシャンデリアに、大理石の床が引き締まった空間を作り出していたが、少々ぬくもりに欠ける印象があった。
朝食に関しては山本益弘さんが絶賛していたので、たいそう期待していたが、先入観抜きに評価しても感銘を受けるには至らなかった。完璧なオレンジジュースと評される品も、むしろ苦く、常に良い品質のものが提供されているわけではないことがわかった。また、サービスのタイミングは夕食時同様に、首を傾げる部分があった。
スペシャルレストランがある25階のアトリウムロビーは、中央に噴水を配したくつろぎの空間だ。宿泊客とレストランを予約したお客さん専用のスペースだそうだ。
Y.K.