1994.02.09
らしからぬスモールホテル
ホテルセンチュリーハイアット名古屋 Superior Room
哀-2

ハイアットを想像して出掛けると、まずその規模の小ささにびっくりする。ロビー周りがあまりにも狭すぎてゆとりが感じられない。これがハイアットでなければこういうホテルなのかと納得がいくのだが。立地的には名古屋の駅からも近く便利な場所だが、環境的にはビジネスホテルとしての性格が強くなりそうだ。そこへ来てこの小ぢんまりとした造りだから、レジャーのお客さんはあまり見込めないだろうし、ビジネスのお客さんは余計なお金を使わないから、採算が合うのか心配だ。

オマケにこのホテルには宴会場がない。ドル箱の結婚披露宴が得られないのだ。派手な婚礼で全国的に有名な名古屋に開業したシティーホテルだというのに、宴会場がないのでは勝負にならないような気がする。ビジネスホテルもここ最近の名古屋は開業ラッシュで、もっと安くてそこそこキレイなホテルがたくさんあるから、ここまで高級志向のビジネスホテルははやらないかもしれない。

業態にはびっくりしたが、サービスは快適だった。フロントの係りはみな感じがよかったし、手際よく仕事をしていた。宿泊客はロビーラウンジでウェルカムドリンクのサービスがある。また、同じラウンジで翌朝のモーニングコーヒーが無料で振舞われる。

客室は実面積よりも広く感じられる配置になっていて、大きなライティングデスクとソファがあり、室内で仕事をする場合でも十分だが、デスク上に電話機がないのは不便に感じた。バスルームはアウトベイシンタイプで、ゆったりとした造り。無料のミネラルウォーターが用意されているなど、ユニークなサービスもある。ターンダウンはなかった。

夕食は一人で地階のレストラン・バー「WHIZZ」に出掛けた。この夏にオープンするパークハイアット東京のインテリアデザインを担当しているジョン・モーフォード氏の手によるインテリアは、木目を活かしながら、多数の絵をモザイク状にはりめぐらし、モダンで洗練されたデザインのレストラン・バーだ。おそらくこのホテル内でもっともよくできた空間ではないだろうか。

しかし、メニューはつまらないし、高すぎる。軽い料理はまったくなく、高級な酒のつまみ感覚の品ばかり。一人で1万円以上掛かってしまった。その割においしくないし、サービスも大雑把だった。翌日の朝食は「ザ・ダイニングルーム」でとった。ホテルのオールデイダイニングとして機能しており、朝からきちんとテーブルクロスを掛けている。サービスは地方のホテルらしいタッチで、特に不可はなかったが、外資系の血筋を微塵も感じることができなかった。

1999年のコメント:残念ながら、このホテルは2000年の3月で閉鎖になることが決まったそうです。名古屋はこれから、ホテルの開業が相次ぎ競争が厳しくなりそうですが、利用者にとっては選択の幅が広がると同時に、サービス合戦が加熱し、より優れたサービスをリーズナブルに得られるチャンスでもあります。ホテルにとっては大変な局面かもしれませんが、いい仕事をすれば評価されるのですから、頑張って欲しいですね。

Y.K.