1994.02.02
加賀屋敷
「うかい亭」つきみ野
喜-3

国道16号線からもかなりそれている住宅地の一角に、周囲の環境とは不釣り合いな屋敷がある。これが個人の邸宅ならば相当の豪邸だが、そこはレストランだ。しかし、どうしてこの場所なのか。それよりも、どうしてこの場所でこれほどの賑わいを見せるのか、とても不思議な店である。

外からはエントランスが見えるだけで、店内の様子はまったくうかがいしることができない。門には常に係りが立っていて、お客さんを出迎える構えでいる。その様子からも相当の高級店である感じが伝わってくる。出迎えの係りの誘導で車を駐車し、エントランスを入るとレセプションがあり、予約してある旨を告げれば、レセプショニストが案内をしてくれる。

館内は昔の邸宅そのままで、話しによると加賀から移築したのだそうだ。時間を経て艶と味わいを増した木肌が何とも美しい。抑えた照明が非常に効果的だ。この店は招待されてしか訪れたことがないので、料金やシステムについてはよくわからない。いつもは、まず個室に通され鉄板焼屋のようなカウンターを囲み、食事をする。

最初にナイフフォークを使う西洋料理のオードブルが出てきて、その後は鉄板焼グリルのスタイルになる。シェフたちはみなホテル並み、あるいはホテル以上の腕とマナーを持っており、会話でお客さんを楽しませながら見事な手さばきで調理をする。このあたりからも、この店が相当高い地位に人々に愛されていることがうかがえる。

サービスは概ね快適だが、やや尊大な感じが否めなかった。スタイルとしては箱根あたりの老舗ホテル風という感じだろうか。食事を終えると、ポリネシア風のインテリアが個性的なホールでデザートとコーヒーをいただく。なかなか落ち着いた雰囲気で、ゆったり過ごすことができる。とにかく従業員の人数が非常に多く、これなら目が行き届かないということはないだろう。おそらくお値段もそれなりに立派なのだろう。今度は自腹で行ってみようかな。

場所はとても分かりにくく、初めての人は迷ってしまうかもしれないが、それが隠れ家的でいいという考え方もある。もう少し、眺めのいいところにあればと思わせるのが残念だ。

Y.K.