1993.11.20
脳みそ
ビストロ「ラ・フェット」西麻布
楽-3

裏通りの静かな環境に佇む瀟洒なビストロ。この店の存在が、この界隈に一輪の可憐な花を咲かせてるかのようだ。街灯の冷たい明かりとは対照的に、店から漏れる白熱灯の温かな色がアスファルトを照らす。コートの襟を立てて歩くような季節なら、この店先を通りかかったら思わず吸い込まれてしまうに違いない。

小さな店構えの割には、店内の規模は大きい。そして、料理は手抜きがなく、期待をして出掛けても十分に応えてくれる。ビストロを名乗りながらも、それ以上を実現している店だ。店内に惜しげもなく飾られた美術品の数々も見逃せない。

この日は羊の脳みそ料理を薦められた。これまで自分で注文する勇気は持てなかったが、薦められたので思い切ってチャレンジした。見た目は巨大な白子という感じだったが、電気的な味がどうもなじめなかった。いい勉強になった。

Y.K.