1993.05.22
オトコのダイニング
「アピシウス」有楽町
喜-5

昼定食は、Aが8,000円で前菜、魚料理、肉料理、氷菓、コーヒーという内容で、Bは5,000円で、前菜、主菜それぞれに二者択一し、それに氷菓とコーヒーが付く。今回は何といっても、ここの名物ともいえるアスパラガスのオランデーズソースが食べたかったので、それが選べるBのコースにし、間に鶏のブイヨンにホッキ貝、タラバガニ、オマール、帆立などの細かい身を入れて香草を浮かべたというスープ(2,200円)をはさんでもらった。

アスパラガスは店の所有する北海道の農園から運ばれてくるとのことで、今回はグリーンアスパラのとても太いものが提供され、ほどよい固さのアスパラと軽やかなオランデーズソースとの相性が絶妙だ。メインディッシュの仔羊は、火の通りが見事で、エストラゴン風味のソースなしだとしてもおいしくいただけそうだった。アミューズもなく、なんとなくお腹が物足りなかったので、チーズを数種。それに続くカシスとパパイヤのソルベはしなやかでうっとりするような出来映えだが、量的に物足りなさがあったのは、食欲旺盛なぼくの都合というものだろう。

その後は、プチフール等はなく、コーヒーで締めくくった。料理は実に素晴らしいが、アラカルトの料理に比べて昼定食は量的に控えめで、高齢者や女性には好都合かもしれない。やはり、グランメゾン的な圧倒的な力強さを感じる料理は、アラカルトで堪能すべきかもしれない。

サービスは極めて快適だった。十分な人数が揃い、それぞれが目を行き届かせているから、不足の生じようがない万全の態勢。また、積極的に給仕が話し掛けてくれるので、楽しい時間が過ごせた。店内いたるところに美しい花々が飾られ、シャガールやビュッフェの名画に囲まれた、控えめなインテリアの空間はできるオトコのダイニングという印象。客層はトップエグゼクティブが多い。器は大倉陶園、グラスはリーデル。化粧室は清潔この上ない。

Y.K.