1993.05.05
楽園からのメッセージ
「パストラル」ホテル西洋銀座
楽-4

ホテル西洋銀座は、気軽に足を踏み入れられる雰囲気ではない。銀座通りの賑わいをよそにひっそりとした佇まいを見せているし、エントランスには常時数名の係りが立っている。エントランスで「パストラル」で食事をしに来たことを告げると、にこやかに扉を開き招き入れてくれる。大理石の階段を上がって回り込んだ位置にラウンジ「プレリュード」と「パストラル」共通のエントランスがあり、「プレリュード」でくつろぐお客さんを横目に見ながら、奥へ奥へと進み、更に180度回り込んだところレストラン「パストラル」がある。ホテルエントランスからちょうど360度、ホテル内をぐるりと回って来た格好だ。

店内はホテル全体の雰囲気をそのまま受け継いでおり、淡い色調のシンプルなデザインだが、避暑地の別荘のような上品さがある。卓上には新鮮な花が飾られ、我が家と同じクリストフルのマルメゾンのカトラリーがセットされている。なかなかきちんとしたセッティングだと思って眺めていると、残念なことに幾つかのグラスには曇りがあった。

今回は「楽園からのメッセージ」とタイトルが付けられた、野菜を中心にしたメニューを楽しむことができた。夜は13,000円で、昼は1品減って8,000円。この日は昼の利用だった。野菜中心のメニューといっても、軽すぎることはなく、ヘルシーなイメージながらも満足感のある品々が続いた。

冷たいロースト野菜のテリーヌ仕立て オリーブとピストゥーの香り
Fondant de Legumes a la Tapenade et au Pistou

ほうれん草と魚介類のカネロニ グリーンカレーソース
Cannelloni d' Epinard aux Fruits de Mer Sauce Curry Vert

キャベツに包まれたフォアグラと仔牛のポートワイン風味
Choux Farcis de Foie Gras et Veau au Porto

野菜のデザート
Douceur de Legumes

コーヒー
Cafe

メインディッシュに添えられたトリュフは薫り高いものだった。また、デザートには赤ピーマンと生姜のムース、アスパラガスのアイスクリーム、ニンジンのシャーベットに、シラップ漬けにして乾燥させた野菜の薄切りを添えたものだった。ワインは、ソムリエのススメでゲヴェルツトラミナーを。サービスは概ね快適だが、やや砕けすぎた部分もあり、街場のレストランと違うホテルのダイニングらしさが欲しいと感じた。客層はほとんどがご婦人だが、あまり行儀がよくないのには圧倒された。

Y.K.