1993.04.26
ほったらかし
フランス料理「ロオジエ」銀座資生堂
哀-3

どうしたことだろうか、いつもの素晴らしいサービスと比較すると、今日はまるで違う店に来てしまったような印象だった。エレベータ前での出迎えもなし、エントランスでも出迎えなし、ホールをのぞき込んでみてはじめてぼくらに気付いてくれた。訳は知らないが、この日は若いサービス人だけの構成で3組のお客さんをもてなしていたが、物理的に忙しそうな雰囲気はなく、ただ単に気配りが不足しているように感じさせた。

テーブルセッティング時にグラス同士が粗雑に触れ合う音をたててみたり、食べ終わった皿をいつまでも下げにこなかったり、いつもの「ロオジエ」ではあり得なかったことが起こっていた。やはり、マネージャーの采配は重要だということだろうか。

料理に関しては概ね良好だった。7,200円の昼定食を注文したところ、この日の献立は、フォアグラのソテー・ハーブのサラダ添え、グリーンピースのクリームスープ、帆立貝のポワレとスパイシーなポテトガレット、グランデセールという内容。フォアグラは昼にはもったいないくらいしっかりした量だったが、ぼくの皿だけは筋が多く舌触りにざらつきがあるフォアグラが乗っていた。

スープは軽やかな仕上がりでいかにも春の雰囲気。浮かせたベーコンがよいアクセントになっている。帆立貝はジューシーで甘みがあり、トリュフをたっぷりと加えたポテトのガレットも香りが良かった。デセールのワゴンには様々なガトーやムース、フレッシュフルーツが並ぶが氷菓がなく、おなか一杯だが冷たいものでさっぱりとしたいという気分の時に物足りなさを感じる。

ワインはピュリニーモンラッシェ'89。食後のエスプレッソをいただきながら、まだおしゃべりに興じていたが、その間エスプレッソのおかわりをすすめてくれることもなく、吸い殻のたまった灰皿を交換することもなかった。閉店時間を過ぎているでもないのに、フルサービスを提供しないのはなぜだろう。普段が素晴らしいだけに残念だった。お腹だけは満足だ。

Y.K