1992.05.10
食の愉しみ
中国料理「養源斎」フォーシーズンズホテル椿山荘東京
楽-3まだ10代の子供たちを9名引き連れて食事に出掛けた。これで2度目のことである。「おいしいものを食べにつれてって下さいよ。」と頼まれ、フレンチを食べに連れていったところ好評だったために、今回は希望者が多くなった。自腹でおごってあげるのはこれ以上無理だと思い、一人10,000円の会費制にして中国料理を食べに行くことになった。フォーシーズンズの養源斎ならば、料理やサービスはもちろん、第一級の建築や庭園も楽しめる。
個室を利用して特別コースをと思ったが、個室がいっぱいだったため、ホールの席で、ランチコースでは一番高価な11,000円の杏花コースを楽しむことになった。予約時の印象はとてもよく、10名一緒の席は入り口付近にしか用意できないが構わないかとか、料理内容をFAXしましょうかなど、細かい気遣いを見せてくれた。当日もまた、日曜日で混み合っているにもかかわらず、予約時の印象通り行き届いたサービスだった。
料理はいつ食べても神秘的だ。何段階にも手を加えれられても、素材の持ち味は最大限活かされている。普遍的な中国料理のイメージからすると、あまりにも淡白なので、中国料理ファンには物足りなさもあるだろうが、むしろ養源斎の料理は新境地の料理だと思って味わった方が楽しめる。
食後は「ジャルダン」に席を移し、3組に分かれてティータイム。一時的に雨が上がったので、庭園の散策も楽しむことができた。ロビー等は雑踏のようで、残念ながらあまりいい雰囲気とは言えなかった。しかし、10,000円だよというと、最初は高いと躊躇していた連中も、またぜひと満足そうだった。食べる楽しみを知ってしまうと、もう誰にも止められない。
杏花コース
前菜3種盛り合わせ(牛肉、鶏肉、アヒルの水掻き)
フカヒレの五目スープ
あわびの薄切りとキャベツの煮込み
鴨の壷蒸し
牛肉とピーマンの炒め
椎茸とターサイの煮込み
四川風つゆそば
点心
季節の果物
1999年のコメント:当初は食べる度に感動があって、まさに神秘の料理だと思っていましたが、最近は随分と様変わりしてしまいました。味がありきたりの中国料理に近づき、だれでも抵抗なく受け入れられますが、とりわけ素晴らしいという印象はなくなってしまったように感じます。「烏賊の卵入り汽煎スープ」などはオープン当初と今とでは、とても同じ品とは思えないほど味が違います。中国料理はレシピや隠し味どうこうよりも、火加減などの職人芸にかかっているような気がします。
Y.K.