1992.03.28
油漬け
「マルモラーダ」横浜プリンスホテル
怒-2

磯子の高台に建つ横浜プリンスホテル内のイタリアンレストラン「マルモラーダ」に出掛けてみた。土曜日の午後1時ごろで、館内は多くのお客さんで賑わっていた。お腹が空いているのに、どのレストランの案内を見てもあまり食欲がわかず、仕方なくといってもいいくらいの状況で、このイタリア料理店を選らんだ。

ランチは1,500円から用意されているとのことだったが、どの料理もぞっとせず、結局昼夜共通のスペシャルメニュー「春の味覚コース」8,000円を注文し、これがとんだ大失敗だった。こんな料理なら1,500円のランチセットで十分だったと後悔するほど、高い授業料になってしまった。

どの料理も安いオリーブオイルに漬け込んだような感じの、油っぽい料理ばかりで、途中でうんざりしてしまった。これがイタリア料理だとして販売されているのをイタリア人が知ったら怒るかもしれない。また、サービスも行き届いていなかった。無愛想で乱雑な仕事ぶりは、楽しいはずの食事の雰囲気をだいなしにする。テーブルにはクロスが掛かっておらず、チープなテーブルがむき出しで、ナプキンは紙製、シルバーはステンレスだった。まぁ、ランチ1,500円の店だから仕方ないのかもしれないが、8,000円のコースを注文した立場としては、不足に感じた。

料理が運ばれてくるパントリーと客席との境は、むき出しの鉄扉で、安普請なパテーションで目隠しをしているが、かえってみっともなく見えた。もう少し表舞台と裏との区別をはっきりとして欲しいものだ。もし、この店に再訪することがあるとすれば、迷わず一番安い品を注文するだろう。それ以上投じる価値はない。

Y.K.